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催眠状態で人は本当に犯罪を犯せるのか?

「催眠術で人を操って、犯罪をさせた」――そんな話を聞いたことがあるかもしれません。
映画やドラマの中ではよくある設定です。
でも、実際にそんなことが可能なのか?
 
まず結論から言えば、「倫理や信念に反する行動を、催眠状態で無理やりさせることは、基本的にできない」とされています。
人は催眠にかかっていても、自分の価値観に反する指示は拒否します。
 
しかし、これが“絶対に無理”かというと、そこには議論の余地もあります。
催眠状態では判断力がやや鈍ることがあります。
また、環境や事前の心理操作が組み合わさると、人は想像以上に影響を受けることがあるからです。
 
実際に、世界には「催眠で犯罪を犯した」とされる事件がいくつか存在します。
たとえば1951年、デンマークで起きた事件では、催眠術師が被験者に強盗をさせたとされる裁判がありました。
この事件では、催眠術師が5年以上にわたって繰り返し暗示を与え、被験者は犯行に及んだと認定され、有罪判決が出ています。
 
一方で、催眠による「虚偽の記憶」が裁判で問題になった事例も多くあります。
催眠中に誘導的な質問をされると、本当はなかった出来事を「記憶」として語ってしまうことがあります。
そのため、現在では法廷で催眠下の証言が証拠として採用されることはほとんどありません。
 
つまり、催眠状態にあるからといって、自動的に「操り人形になる」わけではありません。
けれど、状況次第では心理的な誘導が加速することもある。
その微妙なラインが、催眠と倫理の境界線になります。
 
私たち催眠術師にとって、これは非常に大切な問題です。
催眠は人を癒したり、力を引き出したりできる素晴らしい技術です。
でも同時に、「人の心に触れる」技術でもあります。
 
だからこそ、常に“安全性”と“自律性の尊重”を最優先にする必要があります。
催眠は、人を操るための道具ではありません。
人が自分の力を取り戻すための、橋渡しなのです。