催眠術師の「声」は、生まれつきの才能なのか?
催眠術師と聞くと、低く響く声で、ゆっくりと話す姿を思い浮かべる方もいるでしょう。
テレビや動画を見ながら、「あの声だから催眠術をかけられるんだ」「自分は声が高いから向いていないかもしれない」と感じたことはありませんか。
しかし、催眠術を学ぶときに、声の低さだけを気にする必要はありません。まず大切にしたいのは、聞き取りやすさ、話す速さ、そして相手が安心して話を聞けることです。
こんにちは。催眠術師ウダッチです。今回は、催眠術に興味がある方や、これから学びたい方に向けて、「声」と「伝え方」についてお話しします。
声の低さよりも、言葉が届いているか
低い声には、落ち着いた印象を感じる人もいるでしょう。ただし、低い声なら必ず聞きやすいとは限りません。
声が小さくて聞こえない。語尾が曖昧で、何を言ったのか分からない。響きを意識しすぎて、不自然な話し方になっている。これでは、相手は体験に集中する前に、言葉を聞き取ることに苦労してしまいます。
反対に、声が高めでも、言葉が明瞭で、無理のない速さで話してくれる人の説明は聞きやすいものです。
催眠術でも、まずは相手に内容が伝わることが基本になります。「催眠術師らしい声」をつくることより、自分の声で分かりやすく話すことを意識してみてください。
普段の会話から大きく変える必要はありません。相手との距離や周囲の音に合わせて、無理なく聞こえる声量を選ぶところから始められます。
ゆっくり話せばよい、とは限らない
催眠術では、ゆっくり話すことが大切だと思われがちです。しかし、すべての場面で同じようにゆっくり話せばよいわけではありません。
これから行うことを説明する場面と、相手にイメージを思い浮かべてもらう場面では、必要な時間が違います。
最初の説明を一語ずつ引き延ばすと、かえって内容がつかみにくくなることもあります。一方、イメージしてもらう場面で次々に言葉を重ねると、相手がついていけなくなることがあります。
大切なのは、自分の話したい速さではなく、相手が受け取れる速さです。
相手が首をかしげているなら、説明を言い換える。まだ考えている様子なら、少し待つ。十分に伝わっているなら、次へ進む。話す速さは、相手の反応を見ながら調整するものです。
「間」も伝え方の一部
初心者のうちは、黙ると不安になることがあります。
「何か話し続けないといけない」「言葉が途切れたら、うまくいかなくなるのでは」と考えて、説明を足し続けてしまうのです。
しかし、相手には、言葉を聞いて理解し、イメージを思い浮かべ、自分の感覚を確かめる時間が必要です。
例えば、「手の感覚に意識を向けてみてください」と伝えた直後に、別の指示をいくつも重ねたらどうでしょう。相手は、どの言葉に注意を向ければよいのか迷ってしまうかもしれません。
一つ伝えたら、その言葉を受け取る時間をつくる。その間に、相手の表情や動きを観察する。こうした余裕が、やり取りを進めやすくします。
間は、ただ黙っている時間ではありません。相手の反応を受け取る時間でもあるのです。
安心感は、声だけで決まらない
優しい声で話していても、質問を無視されたり、急かされたりすれば、安心して参加することは難しくなります。
反対に、声に特別な特徴がなくても、説明が分かりやすく、質問にきちんと答えてくれる人には、話を聞きやすいと感じるでしょう。
催眠術で大切にしたい安心感も、声の響きだけでつくるものではありません。
これから何をするのかが分かること。分からないことを質問できること。体験した感覚を率直に話せること。こうしたやり取りが土台になります。
例えば、相手から「よく分かりません」と言われたときに、「説明が少し分かりにくかったですね」と落ち着いて言い換えられる。その対応も、安心して体験してもらうための大切な技術です。
声を整えることと同じくらい、相手の言葉をどう受け止めるかにも目を向けましょう。
自信を持つことと、強く言うことは違う
催眠術を学び始めると、「もっと自信を持って言い切らなければ」と考える方もいるかもしれません。
ただ、自信を見せようとして、必要以上に声を大きくしたり、相手を押し切ったりする必要はありません。
落ち着いて説明する。言葉を慌てて継ぎ足さない。相手から質問が出ても、急いで次へ進まない。そのような振る舞いも、話し手の安定感につながります。
逆に、力の入った声で同じ言葉を繰り返すほど、相手が戸惑ってしまう場合もあります。
自信を育てるためには、声だけを変えるよりも、何のためにその説明をするのかを理解することが役立ちます。手順の意味が分かっていれば、丸暗記したセリフを忘れたときにも、自分の言葉で説明しやすくなるからです。
自分の声を録音してみる
話し方を見直すための練習として、自分の説明を録音して聞く方法があります。
最初は、催眠術のセリフでなくても構いません。「これからどんな体験をするのか」を、一分ほどで説明してみましょう。
聞き返すときは、声が格好よいかどうかではなく、初めて聞く人に内容が伝わるかを確かめます。
語尾まで聞こえるか。言葉を詰め込みすぎていないか。一文が長くなりすぎていないか。説明の途中で、急に速くなっていないか。こうした点を確認してみてください。
自分ではゆっくり話したつもりでも、録音では慌ただしく聞こえることがあります。反対に、落ち着こうとしすぎて、言葉と言葉の間が空きすぎることもあります。
一度にすべて直そうとせず、まずは「語尾をはっきりさせる」「一文を短くする」など、一つだけ課題を決めると練習しやすくなります。
練習相手には「聞きやすさ」を尋ねる
練習相手に感想を聞くときは、「催眠術師っぽかった?」だけでは、改善点が分かりにくいものです。
「聞き取りにくい言葉はありましたか?」
「説明が速いと感じたところはありましたか?」
「何をすればよいか迷った場面はありましたか?」
このように具体的に尋ねると、次に直すところが見つかります。
また、同じ声量や速さでも、相手によって感じ方は変わります。一人から聞きやすいと言われた方法が、すべての人に合うとは限りません。
自分にとって話しやすい形を身につけながら、目の前の人に合わせて調整する。その積み重ねが、実際の場面で使える伝え方につながります。
憧れの催眠術師の声を参考にするときも、声質をそっくりに真似することより、「どこで区切っているか」「どれくらい待っているか」「説明をどう短くしているか」に注目してみてください。
自分の声を生かして学ぶ
生まれ持った声質は、人それぞれです。しかし、聞き取りやすく話すこと、相手に合った速さを選ぶこと、反応を待つことは、練習の中で見直していけます。
「声が高いから無理」「低い声が出ないから向いていない」と、声だけを理由に諦める必要はありません。
催眠術を学ぶときに目指したいのは、相手が説明を理解し、安心して体験に参加できる伝え方です。声は、そのための大切な要素の一つです。
総合催眠術スクール東京で、催眠術の言葉や手順とともに、自分の声を生かした伝え方を学んでみませんか。
まずは、普段より少し丁寧に、目の前の人へ言葉を届けてみる。そこから、催眠術師としての話し方を育てていきましょう。
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