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「エロ催眠術って本当にあるの?」プロの催眠術師が、真面目に答えてみた

ネットで催眠術を調べると、必ず出てくる怪しいジャンルがあります。いわゆる「エロ催眠」というやつです。動画サイトにもそれっぽいものが並んでいるし、漫画やアニメの題材にもなっている。「催眠術をかければ、相手を思い通りにできる」という、あのイメージです。催眠術カフェを営んでいると、たまにこの質問を受けます。「あれって本当にできるんですか?」と。今日は、この質問に、プロの催眠術師として、ごまかさずに真面目に答えます。結論から言うと、多くの人が想像している「あれ」は、できません。ただし、なぜできないのかを知ると、催眠術の本質がよく見えてきます。

まず、結論をはっきり言います

「相手を意のままに操る」はできません

いきなり結論から。
催眠術で、相手を自分の思い通りに操ることはできません。
これは「やらない」という道徳の話ではなく、「そもそも仕組み上できない」という話です。
漫画やアニメで描かれる「目を見つめたら相手が言いなりになる」「催眠をかけたら何でも従う」というのは、フィクションです。
現実の催眠術は、そういう仕組みで動いていません。
なぜ操れないのか。それを理解するには、催眠術が「何をしている技術なのか」を知る必要があります。

催眠術は「操作」ではなく「協力」

一番の誤解はここです。
多くの人は、催眠術を「かける側が、かかる側を支配する技術」だと思っています。
実際は、逆に近い。
催眠術は、かかる側が『協力してくれたとき』にだけ成立します。
かける側がどれだけ技術を持っていても、かかる側が「絶対にかからない」と決めていたら、何も起きません。
これはプロなら誰でも知っている、基本中の基本です。
催眠術師は、相手を操っているのではなく、相手が自分自身の内側にアクセスするのを、手伝っているだけなんです。

そもそも「催眠にかかる」って、どういう状態?

意識がなくなるわけではない

「催眠にかかる」と聞くと、多くの人はこうイメージします。
意識がなくなる。記憶がなくなる。操り人形のようになる。
全部、間違いです。
催眠状態というのは、ざっくり言うと「深く集中してリラックスしている状態」です。
映画に夢中になって、周りが見えなくなる。
本を読んでいて、気づいたら数時間経っている。
こういう「何かに没入している状態」の、少し深いバージョンだと思ってください。
この間、あなたの意識はずっとあります。
自分が何をしているかも分かっている。おかしいと思えば、途中でやめることもできる。
意識を失って、他人に乗っ取られる。そんな状態には、なりません。

「かかっているのに、自分がいる」

催眠を深く体験した人が、よくこう言います。
「かかっていたけど、自分がいなくなった感じはしなかった。むしろ、いつもより自分を感じた」
これが、催眠状態の正確な描写です。
意識はある。判断力もある。
ただ、普段より深くリラックスしていて、イメージが鮮明になっている。
その状態だからこそ、普段は出てこない感覚や反応が出てくる。
でも、あくまで「自分」がそこにいます。

だから「操られる」ことは起きない

最後の判断は、常に本人が持っている

ここが最も重要なポイントです。
催眠状態でも、その人の根っこにある価値観に反することは、受け入れられません。
たとえば、普段まったく人を傷つけたくないと思っている人に、「誰かを傷つけろ」という暗示をかけても、通りません。
その瞬間、はっと我に返るか、単純に反応しないか、どちらかです。
これは実験でも確認されています。
催眠状態にある人に、本人の道徳に反することを指示しても、実行されない。
セキュリティが完全に外れるわけではないんです。
検問の基準が、少し緩くなるだけ。
「本人が本当は嫌なこと」は、その緩んだ検問でも、ちゃんと止められます。

「望んでいないこと」は起きない

もう一つの言い方をします。
催眠術でできるのは、本人が本当は望んでいる方向への後押しだけです。
「もっとリラックスしたい」と思っている人を、リラックスさせる。
「自信を持ちたい」と思っている人の、自信を引き出す。
こういう、本人の望みに沿ったことは、うまくいきます。
でも、本人がまったく望んでいないこと。むしろ強く拒否していること。
これは、催眠術では起こせません。
だから「相手の意に反して、いやらしいことをさせる」というのは、原理的に不可能なんです。

じゃあ、なんであんな「作品」があるの?

フィクションとしての面白さ

ここまで読んで、こう思う人もいるでしょう。
「でも、あれだけ作品があるってことは、何かあるんじゃないの?」
正直に説明します。
「相手を思い通りに操れる」という設定は、物語として、すごく魅力的なんです。
自分の思い通りにならない相手が、思い通りになる。
これは、恋愛でも、権力でも、人間が持つ根源的な願望に触れています。
だから、フィクションの題材として繰り返し使われる。
魔法や超能力と、同じカテゴリーです。
現実にできるから描かれているのではなく、できたらいいなという願望だから描かれている。
ここを、混同してはいけません。

「演技」と「本物」は違う

もう一つ、知っておくべきことがあります。
ネット上にある「それっぽい映像」の多くは、演技です。
催眠にかかったフリをしてもらって、撮影する。
あるいは、本人が「そういうノリ」で協力している。
これは、本物の催眠術とは別物です。
本物の催眠術師が見れば、「これは演技だな」というのは、だいたい分かります。
反応の仕方が、本物とは違うからです。
作られた映像を見て「催眠術ってこういうものか」と思い込むのは、手品の映像を見て「魔法は実在する」と思うのと同じことです。

「合意」がすべてを分ける

プロが絶対に守っていること

催眠術は、人の心の深いところに触れる技術です。
だからこそ、プロは絶対的なルールを持っています。
本人の合意なしに、深いところに触れない。
催眠術カフェで体験してもらうときも、必ず最初に説明します。
嫌なことはしなくていい。途中でやめられる。あなたの意志は尊重される。
この「安心の土台」があって初めて、人は心を開けます。
そして、心を開いてもらえたときに初めて、催眠術は深く機能します。
合意と信頼がなければ、そもそも深い催眠には入れないんです。
これは技術の問題であると同時に、倫理の問題でもあります。

「操れる」と謳う人には近づかない

だから、はっきり言っておきます。
「催眠術で異性を思い通りにできます」
「この技術を使えば、相手を落とせます」
こういうことを謳う人や商材があったら、近づかないでください。
まず、原理的にできません。できないことをできると言っている時点で、信用できない。
そして、仮にそういう意図で人に近づく人間がいるなら、それは催眠術の問題ではなく、その人間の問題です。
包丁で人を傷つける人がいても、それは包丁のせいではありません。
催眠術も同じです。技術に罪はなく、使う人間の意図に、すべてがかかっています。

本当の催眠術は、もっと面白い

「操る」より、ずっとすごいこと

ここまで「あれはできない」という話ばかりしてきました。
でも、催眠術ができることは、実はもっとすごいんです。
「操る」なんてことより、ずっと面白い。
たとえば。
普段は絶対に人前で笑わない人が、笑いが止まらなくなる。
「自分は感情を出すのが苦手だ」と言っていた人が、自然に涙を流す。
「意志が強いから絶対かからない」と言っていた人の手が、開かなくなる。
これらは、他人に操られているのではありません。
その人自身の中に眠っていた別の側面が、表に出てきているんです。

「知らない自分」に会える

催眠術体験のいちばんの魅力は、これです。
自分の中に、自分でも知らなかった側面がある。
それに気づけること。
「こんなに笑える自分がいたのか」
「こんな感情が、自分の中にあったのか」
普段は蓋をしている部分。使っていない部分。
そこに触れる体験は、他では味わえません。
オーロラを見たり、深海に潜ったりするのは、「外側の世界」への旅です。
催眠術は、「自分の内側」への旅なんです。
そして、これほど身近で、これほど未知な場所は、なかなかありません。

よくある質問に、まとめて答えます

Q. かかりやすい人、かかりにくい人はいる?

います。
想像力が豊かな人。何かに没入しやすい人。素直に楽しめる人。
こういう人は、比較的かかりやすい傾向があります。
でも「かかりにくい人」も、条件が整えばちゃんと体験できます。
かかりにくさは、能力の問題ではなく、その日の状態や、術者との信頼関係によっても変わります。

Q. かかると、変なことを口走ったりしない?

しません。
言いたくないことは、言わなくていい。
催眠状態でも、あなたの「言いたくない」は、ちゃんと守られます。
秘密を無理やり喋らされる、といったことは起きません。

Q. かかったまま、戻れなくなることは?

ありません。
催眠状態は、深い集中とリラックスの状態です。
放っておいても、自然に元に戻ります。
眠りに落ちても、いずれ目が覚めるのと同じです。
戻れなくなる、ということは起こりません。

Q. かかったかどうか、自分で分かる?

これは面白いところで、「よく分からなかった」という人ほど、実は深く入っていることがあります。
「かかった!」という派手な感覚を期待すると、逆に「あれ?」となる。
でも後から振り返ると、「時間の感覚がおかしかった」「体が重かった」など、確かに何かが起きていた、と気づくことが多いです。

最後に|怖がらなくて大丈夫です

「エロ催眠って本当?」という質問から始まって、催眠術の本質まで話してきました。
もう一度、大事なことをまとめます。
催眠術で、人を意のままに操ることはできません。
意識を奪うことも、操り人形にすることも、原理的に不可能です。
催眠術は、かかる人の協力があって初めて成立する、共同作業です。
そして、最後の判断は、常に本人が持っています。
だから、催眠術体験は、怖いものではありません。
自分の意志が奪われることもない。恥ずかしいことをさせられることもない。
あるのは、「自分の知らない自分に会える」という、不思議で楽しい体験です。
ネットの怪しいイメージだけで、催眠術を敬遠しているなら、もったいない。
本物の催眠術は、あなたが思っているより、ずっと安全で、ずっと面白いものです。
もし興味が湧いたら、一度、本物を体験しに来てください。
「あ、こういうことだったのか」と、きっと分かってもらえます。