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催眠術において脳梁はどのような役割を担っているのか

催眠術を脳機能の観点から理解しようとしたとき避けて通れない重要なポイント

右脳。
左脳。
無意識。
意識。

こうした言葉はよく使われますが、それらを「つないでいる存在」について語られることは多くありません。
その中心にあるのが、脳梁です。
本稿では、脳梁の基本的な役割から始め、催眠状態において何が起きているのか、なぜ脳梁が重要なのかを、最大限のボリュームで整理します。

 
催眠術は、
意識を切り替える技術。
状態を変化させる技術。
と表現されます。
しかし実際には、「切り替える」というより「統合の仕方が変わる」と言った方が正確です。
その統合の中核に関わっているのが、脳梁です。
脳梁を理解すると、
なぜ催眠では不思議な体験が起きるのか。
なぜ論理と感覚が同時に存在できるのか。
なぜ否定と受容が行き来するのか。
これらが一つの構造として見えてきます。
脳梁とは何か。
脳梁は、右脳と左脳をつないでいる太い神経線維の束です。
脳の中央に位置し、数億本とも言われる神経線維が束ねられています。
役割は単純でありながら極めて重要です。
右脳で処理された情報を左脳に伝える。
左脳で処理された情報を右脳に伝える。
つまり、脳梁は「情報の橋」です。
もし脳梁がなければ、右脳と左脳はほぼ別々に働くことになります。
脳梁は単なる配線ではない。
ここで重要なのは、脳梁は単なる通信ケーブルではないという点です。
脳梁は、
情報を通す。
情報を遮る。
情報の量を調整する。
という調整機能も担っています。
すべての情報が常に自由に行き来しているわけではありません。
状況に応じて、
つながりが強まる。
つながりが弱まる。
という変化が起きています。
この「つながり方の変化」こそが、催眠状態を理解する鍵になります。
通常状態における脳梁の働き。
日常生活では、左脳と右脳は常に情報交換をしています。
言葉を聞く。
意味を理解する。
感情を感じる。
この一連の流れは、両半球の連携によって成り立っています。
しかし通常状態では、左脳の論理的処理が主導権を握りやすくなります。
右脳の感覚やイメージは、左脳によって評価され、整理され、言語化されます。
このとき、脳梁は
右脳の情報を左脳に渡し、
左脳の解釈を右脳に返す、
という往復を高速で行っています。
催眠状態で何が変わるのか。
催眠状態では、
左脳が完全に止まる。
右脳だけが働く。
ということは起きません。
起きているのは、脳梁を介した情報の流れ方の変化です。
具体的には、
右脳から左脳への干渉が弱まる。
左脳から右脳への評価が減る。
という状態が生まれます。
その結果、
イメージがそのまま体感になる。
感覚が言葉になる前に経験される。
という現象が起きやすくなります。
脳梁と「理由は分からないが起きる」という体験。
催眠体験で非常に多いのが、
理由は分からない。
説明できない。
でも起きている。
という感想です。
これは、右脳で処理された体感情報が、左脳で完全に言語化される前に経験されている状態です。
脳梁の情報伝達が、
遮断されているわけではなく、
遅延している、
あるいは
評価が省略されている、
と言った方が近い状態です。
脳梁は否定と受容のバランサー。
否定的な人が催眠に入りにくい理由の一つに、脳梁の使い方があります。
否定的な人は、右脳で感じた情報を即座に左脳に送り、評価します。
これは本当か。
おかしくないか。
騙されていないか。
この評価が高速で行われると、体感が成立する前に打ち消されます。
催眠誘導では、
評価をしなくてよい。
判断は後でよい。
という枠組みを作ります。
これによって、脳梁を通る評価信号の量が一時的に減ります。
脳梁と安全感の関係。
安全感が確保されていない状態では、左脳は強く働きます。
その結果、脳梁を通じて右脳に「警戒せよ」という信号が送られ続けます。
これは、
感じるな。
受け取るな。
というブレーキになります。
逆に、安全だと認識されたとき、左脳は監視モードから待機モードに移行します。
このとき、脳梁を通る情報は、
制御よりも共有に近い状態になります。
これが、催眠状態に入りやすい脳内環境です。

脳梁は体験を現実に定着させる

催眠体験は、右脳主導で起きることが多いですが、それだけでは終わりません。
体験後、人は必ず左脳で意味づけを行います。
あれはどういう状態だったのか。
なぜ起きたのか。
この作業を通じて、体験は「現実の出来事」として保存されます。
このとき、脳梁は、右脳の体感情報を左脳に渡し直します。
つまり、脳梁は、
体験中だけでなく、
体験後にも重要な役割を果たします。
脳梁があるから再現性が生まれる。
再現性とは、同じ状態をもう一度作れることです。
もし右脳の体感だけで終わってしまうと、
なんとなく起きた。
もう一度は分からない。
という体験になります。
左脳が、
どういう条件だったのか。
何をすれば近づけるのか。
を整理することで、再現性が生まれます。
この情報の受け渡しも、脳梁を介して行われます。
脳梁と分離ではなく統合。
一部では、
右脳と左脳を分ける。
論理を切る。
といった表現が使われますが、実際の催眠では分離は起きていません。
起きているのは、役割分担の変化です。
右脳が体験を担い。
左脳が安全と意味を担い。
その間を脳梁が柔軟につないでいます。
この統合が崩れると、
混乱。
違和感。
不安。
が生じます。
良い催眠とは、脳梁の働きが滑らかな状態です。
脳梁は操作されない。
重要な点として、脳梁は外部から操作される部位ではありません。
催眠術師が脳梁をコントロールしているわけではありません。
言葉。
リズム。
構造。
これらによって、本人の脳が自然に連携の仕方を変えています。

脳梁は命令されると硬くなり、許可されると柔らかくなります

日常における脳梁の働き。
脳梁の働きは、催眠中だけのものではありません。
スポーツに集中しているとき。
音楽に没頭しているとき。
深く考えずに動いているとき。
これらの状態でも、脳梁を通る情報のバランスは変化しています。
催眠は、特別な能力を使う技術ではありません。
日常に存在する脳の状態変化を、意図的に引き出しているだけです。
脳梁を理解すると催眠が安全になる。
脳梁の役割を理解すると、
なぜ説明が必要なのか。
なぜ安心感が重要なのか。
が明確になります。
説明は左脳のため。
体験は右脳のため。
そして、それらをつなぐのが脳梁です。
この構造を無視した催眠は、
不安定で。
誤解されやすく。
否定されやすい。
という結果を生みます。
 

催眠術における脳梁の役割を最大限の視点で見る

催眠は「分断の技術」ではなく「統合の技術」であることが分かります。
脳梁は、
感じる脳と考える脳をつなぎ。
体験と理解を往復させ。
変化を現実に定着させる。
その要となる存在です。
催眠術とは、脳梁をだます技術ではありません。
脳梁が自然に働ける環境を整える技術です。
この視点を持つことで、催眠はより安全で、誠実で、再現性の高いものとして理解されていきます。