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昔話の読み聞かせは寝る前の催眠状態で行われているという事実と、その危険性について

 

多くの家庭で、読み聞かせは「良い習慣」として扱われています。

親子の時間をつくる。
想像力を育てる。
言葉に親しませる。
情緒を安定させる。
そのどれもが正しいように見えます。
特に寝る前の読み聞かせは、
一日の終わりに心を落ち着かせる行為として
ほとんど疑われることがありません。
しかし、催眠術師の視点から見ると、
この行為には見過ごされがちな前提があります。


寝る前の子どもは、すでに催眠状態に非常に近い意識レベルにある
という事実です。

そしてその状態で、
物語という「暗示の塊」を繰り返し与えている。
本稿では、
読み聞かせそのものを否定するのではなく、
なぜそれが無意識に深く影響するのか。
どのような点に注意しなければならないのか。
その構造と危険性を、冷静に整理します。
 
まず前提として、
人は眠りに入る直前、意識の性質が大きく変わります。
論理的思考は弱まり、
批判や判断を行う力が落ち、
イメージや言葉をそのまま受け取りやすくなります。
催眠誘導で用いられる状態と、
寝る前の意識状態は非常に近いものです。
集中しているが、疑っていない。
起きているが、現実検証をしていない。
この状態は、
暗示が最も深く入るタイミングでもあります。
大人向けの催眠でも、
リラックスさせ、
目を閉じさせ、
声だけに注意を向けさせる。
これは、
寝る前の子どもの状態とほぼ一致します。
つまり、
読み聞かせが行われる時間帯そのものが、
強力な暗示環境なのです。
ここで重要なのは、
子どもが内容を理解しているかどうかではありません。
無意識は、
理解よりも先に「感じた構造」を取り込みます。
物語の展開。
感情の起伏。
登場人物の扱われ方。
成功と失敗の結びつき。
これらが、
評価されないまま無意識に沈んでいきます。
寝る前というタイミングは、
それを拒否する力がほぼありません。
次に、
読み聞かせの危険性が生まれる最大の理由を整理します。
それは、
読み聞かせをする側が、暗示を与えている自覚をほとんど持っていない
という点です。
親は善意で読んでいます。
教育のため。
安心させるため。
愛情表現として。
しかし、
善意と暗示の強さは無関係です。
むしろ、
信頼している相手の声ほど、
暗示は深く入ります。
催眠誘導において、
ラポールが取れているほど暗示は強まります。
親子関係は、
最も強いラポール状態です。
その状態で、
善悪。
成功と失敗。
安全と危険。
欲と罰。
こうした価値判断が組み込まれた物語を
毎晩、繰り返し聞かせている。
これは、
非常に影響力の大きい行為です。
多くの童話や昔話は、
道徳的な教訓を持っています。
しかし、
その教訓が
「考えた結果の学び」ではなく
「感情と結びついた体験」として入ると、
意味が変わります。
たとえば。
欲を出すと罰が来る。
目立つと危険。
言いつけを破ると破滅する。
自分で判断すると失敗する。

これらは、
文章として理解されるのではなく、
身体感覚として刷り込まれる。

寝る前の状態では、
その傾向がさらに強まります。
子どもは、
疑いません。
これは本当だろうか。
別の考え方はないか。
そうした検証は行われません。
物語=世界の仕組み
として、そのまま入ります。
結果として何が起きるか。
子どもは、
自分の判断を持つ前に、
「安全な型」を覚えます。
何が正しいかではなく、
何が怒られないか。
何が罰を受けないか。
判断の基準が、
自分の内側ではなく、
外側に置かれます。
これは非常に扱いやすい状態です。
しかし同時に、
自律的な判断力は育ちにくくなります。
さらに問題なのは、
この影響が自覚されないことです。
本人は、
自分で考えているつもりです。
でも実際には、
物語で学習した「型」に沿って反応している。
だから大人になっても、
理由は分からないが怖い。
やりたいのにブレーキがかかる。
失敗していないのに罪悪感がある。
こうした感覚が残ります。
これは性格ではありません。
意志の弱さでもありません。
状態依存の学習の結果です。

読み聞かせの危険性は、
即座に悪影響が出ることではありません。

むしろ、
長期的に、
静かに、
気づかれずに残る点にあります。
では、
読み聞かせはやめるべきなのでしょうか。
そうではありません。
重要なのは、
無自覚に行わないことです。
どんな物語を選ぶか。
どんなトーンで読むか。
どこで終わらせるか。
そして、
物語を「絶対の真実」として終わらせないこと。
たとえば、
読んだあとにこう付け加えるだけで、
暗示の性質は大きく変わります。
これは一つの考え方だよ。
別の選び方もあるよ。
どう思った?
これだけで、
判断の軸が少し内側に戻ります。
眠る直前に
価値判断を固定しない。
これが、
読み聞かせを安全に行うための
最低限の配慮です。
 

読み聞かせは、
ほとんどの場合、
子どもが催眠状態に近い意識で行われています。

その状態で与えられる物語は、
教育ではなく、
無意識への暗示として作用します。
善意であっても、
影響は消えません。
問題は内容ではなく、
タイミングと状態です。
寝る前という時間帯は、
暗示が最も深く入る時間です。
その事実を知らずに行われる読み聞かせは、
子どもの判断力を外部基準に固定する
強力な条件付けになり得ます。
大切なのは、
恐れることではありません。
構造を知り、
意識して扱うことです。
気づいた時点で、
その暗示は絶対ではなくなります。
読み聞かせは、
使い方次第で
安心にもなり、
縛りにもなります。
だからこそ、
「良いことだから」という理由だけで
無自覚に行うべきではない。
それが、
この問題の本質です。