HOME | 催眠術スクール | 催眠術師の私から見た第0印象という概念

催眠術スクール&催眠術カフェ東京|催眠術体験できる場所
   

催眠術師の私から見た第0印象という概念

今回取り上げるのは、**0印象**という考え方です。

0印象とは、第一印象よりもさらに手前、言葉が交わされる前、名刺を出す前、自己紹介が始まる前に、相手の無意識が下してしまう判断のことを指します。多くの人は第一印象を気にしますが、催眠術師の立場から見ると、実際に人間関係や信頼の可否を決めているのは、そのさらに前にある第0印象です。

催眠術の現場では、この第0印象がほぼすべてを決めると言っても過言ではありません。どれだけ丁寧に説明しても、どれだけ論理的に話しても、相手の無意識が最初に「警戒」と判断してしまえば、言葉は入ってきません。逆に、第0印象で「安全」「大丈夫そう」と判断されていれば、多少言葉が拙くても、内容は自然に受け取られます。
0印象で無意識が判断しているのは、好みや性格ではありません。安全か、危険か、近づいていいか、距離を取るべきか。この極めて原始的な判断です。これは理屈ではなく、生存本能に近い反応です。だからこそ、本人の意思や努力ではコントロールしにくく、同時に、意識の使い方によって大きく変わります。

0印象を形作っている要素は、すべて非言語です。

姿勢、呼吸、身体の力み、視線の動き、間の取り方、声が出る前の空気感。これらは本人が「見せよう」として作っているものではなく、内側の状態がそのまま外に漏れ出た結果です。催眠術師が第0印象を重視する理由はここにあります。無意識は、言葉よりも状態を信じるからです。
多くの人が、第0印象を良くしようとして、笑顔を作ったり、明るく振る舞おうとします。しかし、催眠術的に見ると、良く見せようとした瞬間に生まれる緊張こそが、最も強いマイナスの第0印象になります。無意識は演技を見抜きます。取り繕った安心感よりも、何もしていない自然な落ち着きを信頼します。

0印象が整っている人に共通しているのは、自分をどう見せるかを考えていないことです。

代わりに、その人は「今ここ」にいます。呼吸が浅くなく、身体に余計な力が入っていない。相手を評価しようとも、拒絶しようともしていない。ただそこにいる。この状態が、相手の無意識に「安全」という信号を送ります。
これは、反応しない練習や催眠状態と非常に近い状態です。内側の反応が静まると、外に出る情報量が減ります。情報量が減ると、相手の無意識は安心します。無意識にとって、情報が多いことは必ずしも良いことではありません。むしろ、余計な情報が少ない方が、信頼しやすいのです。
恋愛でも、ビジネスでも、営業でも、カウンセリングでも同じことが起きています。説得される前に、理解する前に、好きになる前に、「この人は大丈夫そうだ」という感覚が必要です。第0印象は、その入口に位置しています。ここが整っていない状態で、言葉やテクニックを重ねても、結果は不安定になります。

0印象は、テクニックの話ではありません。

声のトーンをこうする、視線をこうする、姿勢をこう正す、といったハウツーでは、本質は変わりません。それらはすべて結果であって、原因ではないからです。原因は一つです。無意識が今、戦っているか、守っているか、休んでいるか。この状態が、そのまま第0印象になります。
休んでいる人の場には、自然と人が集まります。頑張って引き寄せているわけではありません。無意識が落ち着いている状態は、それ自体が周囲の無意識を落ち着かせます。これが、第0印象の本当の力です。
催眠術カフェの思想編として第0印象を扱う意味も、ここにあります。催眠体験で起きるのは、派手な現象ではなく、内側の反応が静まり、余計な緊張が抜けることです。その結果、外に出る第0印象が変わります。人が変わったように見える理由は、テクニックを覚えたからではなく、無意識の状態が変わったからです。

催眠術師の立場から言えば、第0印象は「作るもの」ではありません。

整うものです。内側が整えば、外は勝手に変わります。この順番を取り違えないことが、第0印象を理解する上で最も重要なポイントだと感じます。