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催眠術師の私から見た著書「思考は現実化する」の正体

私は普段、
催眠術という技術を使って、
人の無意識に直接触れる仕事をしています。
その立場から
思考は現実化するを読むと、
これは成功哲学の本でも、
モチベーション本でもなく、
非常に完成度の高い
自己暗示の設計書だと感じます。
この本が長年読まれ続け、
時代が変わっても影響力を失わない理由は、
内容が正しいからではありません。
無意識に入る構造が、
極めて巧妙だからです。
まず誤解されやすい点から整理します。

「思考しただけで現実が変わる」
この本は、
そんなことを言っていません。
思考が現実を直接ねじ曲げるなら、
世の中はもっと単純なはずです。
本当に起きているのは、
思考によって
無意識の前提が変わり、
行動と選択が変わり、
結果として現実が変わる、
というプロセスです。

催眠術の現場でも、
この流れはまったく同じです。

人は意識で
人生を動かしているつもりでいますが、
実際には
無意識が決めた前提通りに
動かされています。
自分は成功する人間だ。
自分は失敗する側の人間だ。
自分には無理だ。
こうした前提は、
本人が気づかないうちに
無意識に入っています。
思考は現実化するが
最も力を注いでいるのは、
この前提を書き換えることです。
本の中では、
成功者の話が
大量に語られます。
これを
証拠が薄い
再現性がない
と批判する人もいます。

しかし、
催眠術師の視点から見ると、
この構成は非常に理にかなっています。

無意識は、
理屈よりも
具体的な物語に反応します。
誰が
どんな境遇から
どう変わったか。
その連続を浴びることで、
無意識は
「それは起こりうる現実だ」
と学習します。
これは
集団向けの自己催眠として
非常に強力です。
また、
本書では
信念
目的
繰り返し
といった言葉が
何度も登場します。
これは精神論ではありません。
催眠術では、
同じ前提が
繰り返し無意識に入ると、
それが
当たり前の基準になります。
当たり前になると、
人は疑いません。
疑わなくなると、
行動が自然になります。
頑張るのではなく、
そう動くのが普通になる。
この状態を作ることが、
催眠術でも
自己暗示でも
最も重要です。
思考は現実化するは、
読者に
強い高揚感を与える本ではありません。
淡々と、
しかし執拗に、
同じ方向へ
意識を向け続けさせます。
これが
暗示としては
非常に優秀です。
一方で、
この本が
まったく効かない人もいます。
その多くは、
批判的に読みすぎています。
疑いながら
検証しながら
距離を保ったまま読む。
これは
知的には正しい姿勢ですが、
無意識には
何も起きません。
暗示とは、
納得ではなく、
採用されるかどうかです。
無意識が
前提として採用しなければ、
どんな名著でも
ただの文字です。
また、
この本を
危険にする読み方もあります。
それは、
行動を放棄することです。
思考だけで十分だと
勘違いし、
現実の行動を止める。
これは
催眠術的には
完全な誤用です。
無意識が変わるとき、
行動は減りません。
むしろ、
迷いが減り、
選択が早くなり、
結果的に
行動量は増えます。
静かに、
淡々と、
やるべきことを
やるようになる。
それが
正しく暗示が入った状態です。
私の立場から見ると、
思考は現実化するは、
成功法則を学ぶ本ではありません。
人が
どの前提で世界を見て、
どの前提で行動するのか。
その構造を、
非常に分かりやすく
提示した本です。
だからこそ、
一部の人には
人生が変わったように感じられる。

世界が変わったのではなく、
その人の
無意識の基準が変わった。

それだけのことです。
催眠術師として言えるのは、
この本は
信じるための本ではない
ということです。
無意識に
どんな前提が入り、
その結果
どんな行動を選ぶのか。
それを
観察しながら読むと、
この本の本当の姿が見えてきます。
思考は現実化するとは、
魔法の書ではありません。
しかし、
無意識にとっては、
十分すぎるほど
現実的な一冊です。