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なぜ人は「変わりたい」と言いながら変化を拒むのか

催眠術の視点から見る無意識の本当の役割

はじめに

「変わりたいんです。」
この言葉は、とてもよく聞かれます。
人生を良くしたい。
今の自分を超えたい。
もっと自由になりたい。
多くの人が、心からそう願っています。
しかし同時に、別の現象も必ず起こります。
変わろうとすると、なぜか行動できない。
決意したはずなのに、元の生活に戻ってしまう。
新しい選択肢が怖くなり、理由をつけて避けてしまう。
結果として、本人はこう感じます。
「自分は意志が弱い」
「本気で変わりたいと思っていないのかもしれない」
けれど、催眠術の視点から見ると、これは意志の問題ではありません。
むしろ、とても健全で自然な反応です。
なぜなら、人が変化を拒むのは「無意識が正常に働いている証拠」だからです。
この記事では、
なぜ人は変わりたいと願いながら変化を拒むのか。
その正体を、催眠術と無意識の構造から丁寧に解き明かしていきます。

無意識の最大の役割は「あなたを守ること」

多くの人は、無意識を「願いを叶える存在」「潜在能力の宝庫」として捉えています。
それは間違いではありません。
しかし、もっと根本的で重要な役割があります。
それは、
「今まで生き延びてきた状態を維持すること」
です。
無意識にとって最優先事項は、
幸せになることでも、成長することでもありません。
安全であること。
生存が脅かされないこと。
これが最優先です。
ここで重要なのは、
無意識が判断する「安全」とは、
必ずしも快適や幸福を意味しない、という点です。
たとえ苦しくても、
たとえ不満だらけでも、
それが「慣れ親しんだ状態」であれば、無意識はそれを安全だと認識します。
逆に、
どれほど良さそうに見える変化でも、
未知であれば危険と判断します。
だからこそ、
「変わりたい」という意識的な願いが生まれた瞬間、
無意識はブレーキをかけ始めます。
これは裏切りではありません。
忠実な防衛反応です。

変化=危険という無意識の方程式

人は理屈では理解できます。
このままではダメだ。
変わった方が良い。
新しい行動を取るべきだ。
けれど、無意識は理屈で動きません。
無意識が使っている判断基準は、
「過去の経験」
だけです。
過去に、
挑戦して失敗した。
傷ついた。
否定された。
恥をかいた。
こうした体験が一度でもあれば、
無意識はこう学習します。
「変わろうとすると危険が起きる」
すると、似た状況が訪れた瞬間、
自動的に防衛反応が起こります。
体が重くなる。
眠くなる。
やる気が消える。
不安や恐れが湧き上がる。
これは怠けでもサボりでもありません。
無意識が全力であなたを守っている状態です。

人は「今の自分」を失うことを恐れている

もう一つ、変化を拒む大きな理由があります。
それは、
「今の自分が壊れることへの恐怖」
です。
変わるということは、
今までの価値観
今までの人間関係
今までの役割
今までの居場所
これらが揺らぐ可能性を意味します。
たとえば、
ずっと「真面目な人」で生きてきた人が、
自由に生きようとすると、
周囲からどう見られるか分からない。
ずっと「我慢する人」でいた人が、
自己主張し始めると、
関係性が壊れるかもしれない。
無意識はこう考えます。
「今のままなら、少なくとも存在は保証されている」
だから、
変わることで得られる未来よりも、
失うかもしれない現在の方を重く見積もります。
その結果、
変わりたいと言いながら、
変化を拒むという矛盾した行動が生まれます。

意志の力では、この構造は超えられない

多くの自己啓発や努力論は、こう言います。
「覚悟が足りない」
「本気になれ」
「行動すれば変われる」
確かに、意識の力が役立つ場面もあります。
けれど、無意識の防衛を意志で押し切ろうとすると、
必ずどこかで反動が起こります。
三日坊主。
燃え尽き。
自己嫌悪。
これは、
アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態です。
どれだけアクセルを踏んでも、
ブレーキを外さなければ前には進めません。
催眠術は、
このブレーキそのものにアプローチします。

催眠術が扱うのは「変わりたい気持ち」ではない

催眠術というと、
「やる気を出させる」
「無理やり変える」
そんなイメージを持たれがちです。
けれど、実際は真逆です。
催眠術が扱うのは、
「なぜ変わらなくても生き延びてこられたのか」
という無意識の戦略です。
今のあなたがあるのは、
変わらなかったからこそ、
ここまで来られた側面もある。
まずそれを、
無意識に理解させ、認めること。
そこから初めて、
「もうその戦略は役目を終えた」
と、自然に手放せるようになります。
変化は、戦いではなく更新です。

変化が起きる瞬間の共通点

実際に、人が変わる瞬間には共通点があります。
それは、
無理をしていない
力が入っていない
自然にそうなった
という感覚です。
決死の覚悟で変わった人は、
ほとんどいません。
むしろ、
「あれ、いつの間にか変わっていた」
という形が多いのです。
これは、
無意識が安全だと判断した瞬間に、
ブレーキを外した結果です。

変われない自分を責める必要はない

もしあなたが、
何度も「変わりたい」と思いながら、
同じ場所に戻ってきているとしても、
それは失敗ではありません。
無意識が、
今のあなたを必死に守ってきた証拠です。
大切なのは、
無意識と対立しないこと。
説得しようとしないこと。
ただ、
「もう大丈夫だよ」
と伝えていくことです。
催眠術とは、
無意識を操る技術ではありません。
無意識と協力する技術です。

おわりに

人は、
変わりたいと思っているのに変われない。
その矛盾の正体は、
弱さでも怠慢でもありません。
あなたの無意識が、
これまであなたを生かし続けてきた、
極めて優秀な防衛システムだからです。
変化は、
戦って勝ち取るものではありません。
安全だと感じたとき、
自然に起こるものです。
もし今、
変われない自分に苛立っているなら、
まずはその自分を守ってきた無意識に、
静かに感謝してみてください。
そこから、
本当の変化は始まります。