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催眠術科学的根拠

 

第一段階:誘導状態の“存在”は神経科学で観測されている

催眠誘導によって生じる変性意識状態は、脳波・脳血流・機能的MRIにより客観的に識別可能である。
代表的な知見として、スタンフォード大・ディーバー博士の研究がある。
この研究では、催眠状態において前帯状皮質の活動が通常時と明確に異なることが示された。
具体的には、意図的な注意制御が一時的に抑制される一方で、外部刺激への反応が変化し、暗示への選択的反応性が高まる。
また、催眠下ではデフォルトモードネットワーク(DMN)の非活動化が見られ、過去記憶との結びつきが弱まり、現在の体験への没入が高まる
これは「トランスに入った感覚」「なぜか気づいたらそうなっていた」という主観報告と一致する。
このように、催眠は構造的に“今ここ”に意識を引き込む状態であることが科学的に支持されている。
 

第二段階:反応性は“再現可能な心理特性”として測定されている

催眠が「誰にでも同じようにかかるもの」ではないことは周知の通りだが、その反応性はすでに定量的な評価が可能な心理指標として整備されている。
最も著名なものは**スタンフォード催眠感受性尺度(SHSS)**であり、1959年にHilgard夫妻が開発した。
これは、特定の誘導と暗示への反応を16段階で測定し、再現性のある“被暗示性のプロフィール”を作成することが可能である。
また、近年は脳波パターンとの相関も研究されており、被暗示性の高い被験者はアルファ〜シータ域の変動が滑らかで、外界刺激に対する反応変調が大きいという特徴を示す。
つまり、催眠とは「誰でも魔法のようにかかるもの」ではないが、「条件とプロファイルが整えば再現できる現象」だと言える。
これは、プロとしてセッション設計を行う際の個別最適化根拠として使える理論基盤である。
 

第三段階:応用可能性は臨床研究と比較介入試験で実証されている

催眠が単なる心理現象に留まらない証明として、臨床応用の実績が挙げられる。
とくに慢性疼痛、不安障害、過敏性腸症候群(IBS)、術前ストレスの軽減、がん患者のQOL向上などにおいて、催眠療法が補助療法として採用されている。
ハーバード大学医学部のエルマン博士の研究では、術前に催眠誘導を受けた患者は、痛み止めの使用量が平均で25%以上減少したという結果が出ている。
また、過敏性腸症候群に対するWhorwellらのランダム化比較試験では、催眠による症状改善率が70%を超えたと報告されており、これは標準薬物療法と同等、あるいはそれ以上の効果を示した。
重要なのは、これらが**統制群を用いたRCT(無作為化比較試験)**によって行われており、主観的な感想ではなく、データとして効果が裏づけられているという点にある。
つまり、催眠術は「信じる人にしか効かない」ものではなく、「構造化された手順と対象条件によって効果を発揮する、再現可能な技法」である。