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自律トランス圏──外からの誘導がいらない催眠状態とは?

催眠術と聞くと、一般的には「催眠術師が暗示を与え、相手を誘導していくもの」というイメージがあると思います。
しかし一部には、それとはまったく異なるタイプの変性意識状態が存在します。
外的な声や音、技法すら介さず、本人が自然に、繰り返し、無意識のうちに催眠に入る。
これが「自律トランス圏」と呼ばれる状態です。
 
これは、決して「勝手にボーッとしてる」状態ではありません。
むしろ、ある種のパターン(姿勢、場所、時間帯、身体条件)に入ると、自動的にトランス様の内的集中状態に移行するというものです。
これは催眠術師の誘導ではなく、本人の内的なリズムや記憶によって引き起こされる点が特徴です。
 
例えば、同じ席に座ると無意識に深呼吸してしまう。
ある香りをかぐと内側に入る感覚が起きる。
反復作業をしているうちにトランスのような集中に入る。
 
こうした日常的な条件反射に近い現象とはいえ、自律トランス圏はより深く、思考の解体や身体感覚の鈍化を伴う場合すらあります。
 
この現象は欧州の研究グループでは「深層反復的注意状態(Deep Recurrent Attention States)」と呼ばれています。
呼吸、心拍、脳波などの微細な変化が観察され、今後の臨床応用が期待されています。
 
催眠における新しい視点として注目すべきは、「誘導されるトランス」だけではなく、「自ら入ってしまうトランス」の存在です。
 
このタイプは、言語による誘導や手順を省いても変性意識に入れるため、過剰な暗示や演出が逆効果になることもあります。
 
また、トランスに入る条件を記録し分析することで、自己催眠や個別対応への応用も可能になるかもしれません。
 
誰かに導かれるのではなく、自分の中にすでにトランスの入り口がある。
 
この“環境非依存型トランス”は、催眠術の理論と実践の幅をさらに広げる可能性を秘めています。