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CIAの催眠実験「MKウルトラ計画」とは何だったのか?

MKウルトラ計画(Project MK-Ultra)は、アメリカCIAが1950年代から1970年代にかけて極秘に行っていた洗脳・精神操作の研究プロジェクトです。
冷戦下の情報戦争の中で、「人間を意のままに操る」技術が本気で模索されていた時代でした。
その中心にあったのが、薬物・心理学・催眠術でした。
 
MKウルトラの目的は、敵のスパイを尋問したり、自白させたり、逆に自国のスパイを捕まっても情報を喋らせないようにしたりすることでした。
しかしそのために使われた手段は、今日の常識では到底受け入れられないものです。
 
LSDをはじめとする幻覚剤を、本人に知らせず投与したり、被験者に極端な感覚遮断を強いたり、催眠状態のまま記憶を書き換える実験が行われていました。
被験者は囚人、精神疾患者、果ては一般市民までに及び、本人の同意を得ずに行われたケースも多数ありました。
 
CIAは、これらの実験の中で催眠術を「記憶を植え付ける手段」として研究していました。
ある文書では、「催眠状態で指示を与え、通常意識では思い出せないようにする」ことが可能かどうかを探っていた形跡があります。
 
たとえばあるケースでは、被験者を深い催眠状態に誘導し、特定の暗号に反応して行動するような“スリーパーエージェント(潜伏工作員)”の創出が試みられたとも言われています。
まさに、映画や小説で見るような「催眠による洗脳」をリアルに再現しようとしていたのです。
 
MKウルトラは1970年代に発覚し、大スキャンダルとなります。
アメリカ議会の公聴会で追及され、CIAの長官は計画の存在を認め、資料の多くは破棄されたとされました。
 
それでも、現存する一部の公文書や証言からは、当時のCIAが催眠術を含む“心の操作”に相当なリソースをかけていたことが見て取れます。
この事件は、催眠術が“人を操る恐ろしい力”として誤解されるきっかけにもなりました。
 
現在の催眠術は、安全性と倫理性が重視され、こうした実験とは無縁のものです。
それでも、「MKウルトラ計画」の存在は、催眠という技術が一歩間違えば“支配の道具”として利用されかねないことを教えてくれます。
 
だからこそ、私たちは催眠を扱う者として、その力を正しく理解し、正しく使う責任があるのだと思います。